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2016年3月6日 日曜日
監督義務者?
JR東海が、徘徊中の90歳代の認知症の男性による列車事故により生じた損害賠償を家族に求めた訴訟で、
1審、2審と判断は揺れていましたが、最高裁が請求棄却の判決を言い渡しました。
民法上、認知症など精神上の障害により責任能力のない者に代えて、監督義務者が賠償義務を負うところ、
今回のケースでは、家族が監督義務を負わないと判断されました。(家族というだけで一律に監督義務者とはされない)
JR東海という大企業による老老介護の一家族への請求であることの国民感情や、今後認知症700万人時代ともいわれる介護現場への影響などから、ほっとする判断がされたと感じます。
一方で、今回の構図とは違った状況を想定すると、(例えば逆に認知症の方の運転する車で一般市民が事故に巻き込まれるようなケース)被害回復のハードルが上がることも考えられ、判例の積み重ねがされるまで混乱も予想されます。
少なくとも認知症とそれがもたらす社会への影響を考えるきっかけになる大きな判決であったと思います。
投稿者 秋山司法書士事務所 | コメント(0) | トラックバック(0)
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